80対20の法則を意識した学習をしよう

効率的なWebデザインの学習には、是非とも知っておきたい80対20の法則(パレートの法則)についてご紹介します。

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80対20の法則を意識した学習をしよう

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80対20の法則、という言葉を耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。80対20の法則とは、ものすごく簡単に言えば、原因などのわずかな部分が、結果などの大きな部分をもたらすという法則です。

実は効率的なWebデザインの学習には、この80対20の法則を無視することができません。このページでは、なぜWebデザインの学習に80対20の法則を意識することが大事なのかをお話しします。

80対20の法則とは

Webデザインと80対20の法則の関連性についてお話しする前に、前知識として、まずは80対20の法則について少し触れておきましょう。(すでにご存じの方は読み飛ばしてください。)

80対20の法則とは、イタリアの経済学者であるパレートが発見した法則です。発見者の名前から、別名パレートの法則とも言います。その法則の内容は、投入、原因、努力のわずかな部分が、算出、結果、報酬の大きな部分をもたらすという法則(※1)です。

分かりやすいように例を挙げましょう。企業の売り上げで言えば、売り上げの80%を占めているのが20%の製品または顧客。所得で言えば、所得全体の80%が、所得人口の20%に集中しているといった具合です。

もちろんピタリと80対20になるということではなく、投入と算出、原因と結果、努力と報酬の間には不均衡が生じ、その割合がおおよそ80対20になることが多い、ということです。

※1参考文献

人生を変える80対20の法則  リチャード コッチ (著), 仁平 和夫 (翻訳)
↑Webデザイナーの学習には直接関係ありませんが、ビジネス書として非常に良書です。

なぜ、Webデザインの学習で80対20の法則なのか

あまりWebデザインに関係なさそうな80対20の法則ですが、なぜここでお話ししているのでしょうか。その理由は簡単です。皆さんの目標であるWebデザイナーは、日々Web制作をしていますが、その実務で使う知識や技術には大きな偏りがあるからです。そう、それらの偏りが、80対20の法則におおよそあてはまるんですね。

あんなにたくさんの技術が使われ、こんなに覚えることが多い、と思われがちなWebデザイナーなのに、これには驚かれるかもしれません。しかし、これは意外な事実なのです。

分かりやすいのはHTMLタグ

たとえば、Web制作において80対20がいちばん分かりやすい(というか正確には不均衡が大きい)のがHTMLタグです。HTMLタグは全部で何百あるのか分かりませんが、私たちWebデザイナーが日常でよく使うタグは、まあ20個くらいでしょう。たかがその20個くらいが中心となってWebページは構成されているのです。

ここまでくると、HTMLタグにおいては80対20どころではありませんね。(80対20の法則は、厳密に80対20になるという法則ではないのでこれでOKなのです)

もちろん、ソフトなどにも

HTMLタグでは80対20どころではなくなってしまいましたが、PhotoshopやIllustrator等のソフトの機能も考え方は同様です。これらのソフトは非常に高機能で複雑なこともできますが、日常業務で使う機能はそれほど多くありません。Web制作をする際、PhotoshopやIllustratorの20%~30%程度の機能で、大ていは事足りてしまうのです。

実際、プロのWebデザイナーだって、PhotoshopやIllustratorの全機能を熟知している人なんてそういません。よく使う、重要な部分だけ詳しく知っていれば、十分デザインできてしまいますからね。(もともとはDTP分野向けのソフトなのですから、Webでは使わない機能が多いのは当然と言えば当然です)

もちろんソフトや技術によっては、先ほどのHTMLタグのように極端な不均衡が出ることもあれば、そうでない場合もあります。このままでも80対20的な傾向が十分あるように思いますが、それらをひっくるめると、さらに80対20に近づいてくるのではないでしょうか。不思議なことではありますが、これは日々の仕事から、私が肌で感じることです。

80対20の法則を学習に活かす

それでは、80対20を学習に活かすにはどのようにしたらよいのかを考えてみましょう。

重要な20に重点を置いて学習する

Webデザイナーの学習が難しいと感じてしまう理由の大きな要因として、「覚えることが多すぎる」ということがあると思います。しかし、先ほどお話ししたように、Web制作の中で重要な項目は多くありません。

あまり重要でない(原因の)80まで時間をかけてしっかり学習してしまうから、Webデザイナーになるのが大変になってしまうのです。つまり、実務でほとんど使いもしないようなことまで覚えようとするのが効率を悪くしている原因ということです。

重要なのは80対20の法則でいう(原因の)20を重点的に覚え、残り80の優先順位を落とすこと。その80の中でも、ものによっては後まわし・または切り捨てる勇気をもつことが重要です。

ですから、Webデザイナーのなるための学習中は、「これは重要な20だろうか?」ということを意識しながら学習することが重要になってきます。

20が木の枝、80が葉っぱ

重要な20に注力して学習すると、思わぬ副産物があります。それは、20をしっかり覚えると、後から残りの80を覚えようとする際に覚えやすくなるのです。説明が少し難しいので簡単に言いますが、覚え方の土台のようなものができる、と思っていただければいいでしょう。

重要な20はいわば木の枝のようなものです。枝が少ないとりっぱな木に見えませんし、葉っぱもつきづらい。まずは重要な20である枝を張り巡らせてから、その後で葉っぱを付けていけばいいのです。

世の中には、葉っぱがふさふさしたりっぱな木=優れたWebデザイナーさんがどうしても目立ってしまうので、最初からいろいろなこと・または高度なことまで学習したくなってしまいがちです。その気持ちも分かりますが、まずは枝である20をしっかりすることが重要です。

重要な20はどこ!?

おそらくあなたは、「その重要な20はどうやって分かるんだろう」と思わたのではないでしょうか。

実は、世に出回っている教材には、重要な20に焦点を当てて作られているものはおそらくないはずです。世の中の教材は、実践でほとんど使われないようなことまでご丁寧に説明されているものがあふれています。

最も、一般的的な教材だと思われる書籍はもちろん、スクールでもないでしょう。一部実践的なスクールにおいては多少20を考慮はされているかもしれませんが、教材や教育機関の役割自体を考えると期待できないでしょうね。それらは細かくきっちりと教えること自体に意味があるのですから。特にスクールは、20だけじっくり教えて80は適当ではクレームがついてしまうでしょう(^^;

結論から言うと、20を知る(というか鍛える)よい方法の一つに、実際にWebサイトを作るということが挙げられます。これについては長くなるので、次ページWebサイトを作って作って作りまくれ!にて詳しくお話しします。

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コメント

もとDTPデザイナー さん 2011年10月06日13時00分
馬場様、良い記事をありがとうございます!!
自分が日々感じていたことが文章になったような気分です。

80対20の法則、Webでもあるのですね。
DTPでもあります。
雑誌、チラシ、書籍、パンフレット…それぞれで、よく使うソフトも機能も違います。
同じ種類の制作物でも、会社によってはやり方が違うこともあります。
DTPが本業ですが、企業研修もよくさせて頂きました。
研修では、その会社のその業務に必要なことだけを覚えて頂けば良いのですが、「全ての機能を覚えなくては…」と焦っているかたをよく見かけました。
実務では「知っていること」より「使えること」が大切だとお話しますが、なかなか納得して頂くのが難しいかたもいらっしゃいました。

馬場様のおっしゃる通り
>20をしっかり覚えると、後から残りの80を覚えようとする際に覚えやすくなるのです。
>まずは枝である20をしっかりすることが重要です。
その通りですね!! 本当に。
モヤモヤが晴れた気分です。

ありがとうございました!!
馬場誠 さん 2011年10月07日00時35分
もとDTPデザイナーさん、こんばんは。

そのようにおっしゃっていただきありがとうございます。
DTP業界もやはりそうなんですね!

DTPやWeb等、巨大な分野を学ぶには、こういった考えをもっていないと本当に大変ですよね。
この法則は、なぜだかいろいろなものにあてはまってしまうので、本当に不思議なものだなとしみじみ思います。
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